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夏の防災に欠かせない暑さ対策とは?
暑さ指数(WBGT)と熱中症対策をわかりやすく解説
夏から秋にかけては、台風や集中豪雨による水害・土砂災害に加え、猛暑による熱中症リスクが高まる時期です。
特に近年は、屋外作業やイベントだけでなく、屋内、夜間、避難所、停電時の施設内などでも熱中症への備えが重要になっています。
夏の防災では、風水害への備えとあわせて、「暑さ指数(WBGT)」を確認し、危険な暑さを早めに察知して行動へ移すことが欠かせません。
今回は、熱中症予防に役立つ「暑さ指数(WBGT)」を中心に、日常生活、運動・イベント、職場で確認すべきポイントをわかりやすく解説します。あわせて、熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートへの対応や、企業・自治体で活用できる携帯型防災マニュアルの重要性についてもご紹介します。
※画像はイメージです。実際のサンプルとは一部デザイン等が異なる場合がございます。
夏の防災で暑さ対策が重要な理由
夏の防災というと、台風、線状降水帯による大雨、河川の増水、土砂災害、高潮などへの備えを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、夏季の災害対応では、暑さそのものも大きなリスクになります。
例えば、避難所や一時滞在施設で空調が十分に使えない場合、停電により室内温度が上昇した場合、屋外で避難誘導や復旧作業を行う場合には、熱中症の危険性が高まります。また、企業や自治体では、屋外イベント、工場・倉庫・厨房での作業、配送・点検業務など、通常業務の中にも暑熱リスクが潜んでいます。
そのため、夏の防災では「災害が起きたらどう動くか」だけでなく、暑さによる体調不良を未然に防ぐ仕組みを整えておくことが重要です。具体的には、暑さ指数(WBGT)の確認、熱中症警戒アラートへの対応、休憩・給水・冷却のルール化、緊急時の連絡体制の整備などが求められます。
暑さ指数(WBGT)とは
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的とした指標です。気温だけではなく、湿度、日射・輻射熱など周辺の熱環境を取り入れて算出されるため、体にかかる暑熱ストレスを把握しやすいのが特徴です。
暑さ指数(WBGT)は数値で示されますが、気温そのものではありません。環境省では、気温と区別しやすいよう、単位のない指数として表記しています。例えば、気温がそれほど高くない日でも、湿度が高く、風通しが悪く、直射日光や地面からの照り返しが強い場所では、暑さ指数が高くなることがあります。
熱中症は、屋外だけでなく屋内や夜間にも発生します。特に、高齢者、乳幼児、持病のある方、体調不良の方、暑さに慣れていない方は、短時間でも体調を崩す可能性があります。夏の防災では、気温だけで判断せず、暑さ指数を確認して行動を調整することが大切です。
暑さ指数を確認するときのポイント
- 気温だけでなく、湿度や日射・輻射熱を含めて危険度を確認する
- 屋外作業、運動、イベント前には、当日だけでなく前日から予測値を確認する
- 室内でも、空調の有無、換気状況、人数、作業内容によってリスクが変わる
- 高齢者、子ども、体調不良者など、暑さに弱い方への声かけを行う
- 暑さ指数が高い日は、作業時間の短縮、休憩回数の追加、実施可否の見直しを検討する
日常生活における暑さ指数の見方
日常生活では、買い物、通勤・通学、屋外での待機、室内での家事、地域活動など、さまざまな場面で熱中症が発生する可能性があります。日常生活に関する指針では、暑さ指数(WBGT)28以上31未満は「厳重警戒」、31以上は「危険」とされており、早めの対策が必要です。
日常生活における熱中症予防の目安
| 暑さ指数(WBGT) | 危険度 | 行動の目安 |
|---|---|---|
| 31以上 | 危険 | 高齢者では安静にしていても熱中症を発症する危険性があります。外出はなるべく避け、エアコン等を使用した涼しい室内で過ごします。 |
| 28以上31未満 | 厳重警戒 | 外出時は炎天下を避け、室内では温度上昇に注意します。こまめな水分・塩分補給と休憩を徹底します。 |
| 25以上28未満 | 警戒 | 運動や激しい作業をする場合は、定期的に十分な休息を取り入れます。体調の変化に注意します。 |
| 25未満 | 注意 | 一般的な危険性は高くありませんが、激しい運動や重労働では熱中症が発生する可能性があります。 |
日常生活での熱中症対策は、特別な準備だけでなく、日々の小さな行動の積み重ねが重要です。エアコンを我慢しない、のどが渇く前に水分を取る、通気性のよい服装を選ぶ、外出時間を調整するなど、無理をしない行動を習慣化しましょう。
家庭・地域で確認しておきたいこと
- エアコンや扇風機が使用できる状態か
- 停電時に避難できる涼しい場所を把握しているか
- 高齢者や一人暮らしの方へ声かけする体制があるか
- 経口補水液、冷却シート、保冷剤、飲料などを備えているか
- 屋外での地域活動や行事の中止・延期基準を決めているか
運動・イベント時に確認したい暑さ指数
運動や屋外イベントでは、体温が上がりやすく、短時間で熱中症のリスクが高まります。特に、子ども、暑さに慣れていない参加者、体調不良者がいる場合は、通常より慎重な判断が必要です。
運動・イベント時の判断目安
| 暑さ指数(WBGT) | 区分 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 31以上 | 運動は原則中止 | 特別な場合を除き、運動は原則中止とします。屋外イベントについても、参加者・スタッフの安全確保が難しい場合は、中止・延期・短縮を検討します。 |
| 28以上31未満 | 厳重警戒 | 激しい運動や持久走など、体温が上昇しやすい活動は避けます。10〜20分おきの休憩と水分・塩分補給を徹底します。 |
| 25以上28未満 | 警戒 | 積極的に休憩を取り、適宜水分・塩分を補給します。激しい運動では30分おき程度の休憩を目安にします。 |
| 21以上25未満 | 注意 | 熱中症による事故が発生する可能性があります。熱中症の兆候に注意し、運動の合間に水分・塩分を補給します。 |
| 21未満 | ほぼ安全 | 通常は危険性が低いものの、活動内容や体調によっては水分補給が必要です。 |
イベント主催者や施設管理者は、開催可否の判断を担当者の経験だけに頼らず、暑さ指数に基づく基準として明文化しておくことが重要です。開催する場合も、日陰や冷房のある休憩場所、飲料、救護動線、緊急連絡先を事前に確認しておく必要があります。
イベント・学校行事で整備したい項目
- 暑さ指数に応じた中止・延期・短縮の判断基準
- 受付、待機列、観覧席などでの暑さ対策
- 日陰、冷房設備、ミスト、送風機などの休憩環境
- 飲料、塩分補給品、保冷剤、氷のうなどの準備
- 体調不良者を救護場所へ誘導する手順
- 参加者・保護者・スタッフへの事前案内文
熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラート
熱中症の危険性が高いと予測される場合には、環境省と気象庁から「熱中症警戒アラート」が発表されます。これは、危険な暑さへの「気づき」を促し、早めの熱中症対策につなげるための情報です。
熱中症警戒アラートは、発表対象地域内の暑さ指数(WBGT)情報提供地点のいずれかで、翌日または当日の日最高暑さ指数が33以上になると予測される場合に発表されます。アラートが発表された際は、不要不急の外出を控え、エアコン等を使用した涼しい環境で過ごすなど、熱中症予防行動を徹底することが重要です。
さらに、広域的に過去に例のない危険な暑さとなり、人の健康に重大な被害が生じるおそれがある場合には、「熱中症特別警戒アラート」が発表されます。熱中症特別警戒アラートは、都道府県内の全ての対象情報提供地点で、翌日の日最高暑さ指数が35以上になると予測される場合に発表されます。
熱中症特別警戒アラートが発表された場合は、通常以上に熱中症予防行動を徹底する必要があります。特に、学校、企業、イベント主催者、施設管理者は、参加者・従業員・利用者が確実に熱中症対策を取れる環境かを確認し、対策が十分に取れない場合は、中止・延期・内容変更を判断する必要があります。
参考:環境省「熱中症特別警戒アラート・熱中症警戒アラート」、政府広報オンライン
アラート発表時に取るべき主な行動
- エアコン等を使用し、涼しい環境で過ごす
- 不要不急の外出を控える
- こまめに水分・塩分を補給する
- 高齢者、子ども、体調不良者へ声かけを行う
- 屋外作業、運動、イベントの実施可否を見直す
- 身近な場所の暑さ指数(WBGT)を確認する
- 熱中症特別警戒アラート発表時は、管理者が中止・延期・変更を含めて判断する
企業に求められる熱中症対策
2025年6月1日から施行された改正労働安全衛生規則により、一定の暑熱環境下で作業を行う事業者には、熱中症の重篤化を防ぐための「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付けられています。
対象となるのは、WBGT値28以上または気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業です。屋外作業だけでなく、工場、倉庫、厨房、イベント会場、配送現場、設備点検、清掃作業なども対象となる可能性があります。
企業が整備しておきたい項目
- 熱中症のおそれがある作業者を報告するための連絡体制
- 現場責任者、衛生管理者、救急搬送先などの連絡先一覧
- 作業からの離脱、身体冷却、医療機関受診までの対応手順
- 休憩場所、冷却用品、飲料、塩分補給品の配置
- 暑さ指数(WBGT)の確認方法と作業中止基準
- 従業員、協力会社、イベントスタッフへの事前周知
- 体調不良を申し出やすい現場ルールづくり
熱中症対策は、単に「無理をしないように」と注意喚起するだけでは十分ではありません。誰が暑さ指数を確認し、どの数値で作業を中断し、体調不良者が出た場合に誰へ連絡するのかを、具体的な手順として整備しておくことが重要です。
業種別に注意したい暑熱リスク
| 場面・業種 | 注意すべきポイント |
|---|---|
| 建設・屋外作業 | 直射日光、照り返し、ヘルメットや保護具による体温上昇に注意が必要です。作業時間の調整と休憩場所の確保が重要です。 |
| 工場・倉庫 | 屋内でも熱がこもりやすく、空調が届きにくい場所では暑さ指数が高くなることがあります。スポットクーラーや送風、作業ローテーションを検討します。 |
| 厨房・食品製造 | 火気や蒸気により、気温以上に暑熱負荷が高くなる場合があります。水分補給のタイミングや休憩導線を明確にします。 |
| 配送・巡回・点検 | 移動中や車内、屋外待機中にも熱中症リスクがあります。単独作業時の連絡手段と体調確認のルールが必要です。 |
| イベント運営 | 参加者だけでなく、設営・誘導・警備・受付スタッフの暑さ対策も必要です。中止・短縮判断の基準を事前に共有します。 |
熱中症が疑われる場合の初動対応
熱中症は、初期対応が遅れると重症化するおそれがあります。めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛、こむら返り、生あくび、頭痛、吐き気、倦怠感などが見られる場合は、すぐに対応を開始します。
初動対応の基本
- エアコンが効いた室内や風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移動させる
- 衣服をゆるめ、首、脇の下、足の付け根などを冷やす
- 自力で飲める場合は、水分・塩分、経口補水液などを補給する
- 自力で水が飲めない、意識がない、応答がおかしい場合は、無理に水分を飲ませず、すぐに救急車を呼ぶ
- 症状が落ち着いたように見えても、しばらくは一人にせず様子を確認する
職場や施設では、熱中症が疑われる人を見つけた場合の報告先、救護場所、救急搬送先、付き添い担当、家族・関係者への連絡方法を事前に決めておくと、緊急時の対応がスムーズになります。
夏の防災情報をマニュアル化する重要性
暑さ指数、熱中症警戒アラート、熱中症特別警戒アラート、職場での対応手順は、正しく理解していれば夏の防災に役立つ重要な情報です。しかし、緊急時には長い資料を読み込む余裕がなく、必要な情報にすぐアクセスできないことも少なくありません。
そのため、夏の防災対策では、台風や大雨への備えとあわせて、熱中症予防、暑さ指数の確認方法、アラート発表時の行動基準、体調不良者への初動対応などを、短時間で確認できるマニュアルとして整理しておくことが重要です。
夏の防災マニュアルに掲載しておきたい情報
- 暑さ指数(WBGT)の確認方法と行動基準
- 熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラート発表時の対応
- 屋外作業、イベント、避難所運営時の中止・短縮判断基準
- 水分・塩分補給、休憩、冷却用品の配置ルール
- 熱中症が疑われる場合の応急対応フロー
- 現場責任者、救急搬送先、関係者への緊急連絡先
- 停電時や空調停止時に移動できる涼しい避難先
- 従業員・利用者・来訪者向けの案内文面
特に企業では、担当者だけが対応を理解している状態では、緊急時に機能しない可能性があります。誰が見ても理解できる表現で、必要な情報を一元化し、従業員や関係者がすぐ確認できる形にしておくことが大切です。
携帯型マニュアル「Z-CARD®」のご提案
災害時や猛暑時の初動対応を現場で機能させるためには、必要な情報を「すぐ確認できる形」に落とし込むことが重要です。
しかし、分厚いマニュアルや社内サーバー上の資料だけでは、停電時や通信障害時に確認できないおそれがあります。
当社では、携帯性と視認性に優れた「Z-CARD®」を活用し、防災・避難・熱中症対策に関するマニュアル制作をご支援しています。財布や社員証ケースに入れて携帯できる仕様にすることで、災害時や猛暑時でも必要な情報をすぐに確認できます。
「暑さ指数」「熱中症警戒アラート発表時の行動」「作業中止基準」「緊急連絡先」「熱中症対応フロー」などをコンパクトにまとめることで、従業員一人ひとりの迅速な判断と安全確保につながります。
